ため池のページ
11月8日(土)里山セミナー・里山守り人養成講座「池の生き物大集合!池干し大作戦」
11月8日(土)、世羅町寺町のため池を干して外来種の駆除ややため池の生き物観察を行いました。
当初の計画では11月9日(日)に行う予定でしたが、9日(日)が雨の予報なので急遽予定を変更して11月8日(土)の午後に開催することにしました。
急な日程変更にもかかわらず池干しは大勢の参加者で賑わいましたが、残念なことに生き物の賑わいはありませんでした。
池の底には大人の胸まで潜るほどの真っ黒なヘドロが溜まっていて、生き物の気配がかじられません。
とはいえ、大勢でガサガサするとそれなりに生き物が集まります。
一番たくさんいたのはアメリカザリガニでした。他には、ドジョウ、メダカ、ミズカマキリ、ヒメゲンゴロウ、ユスリカの幼虫、ヤンマの仲間のヤゴ、ヌマガエルが、ほんの少し捕れました。
水草はヒシが少しあっただけで、池の水面の半分以上はガマに覆われていました。
池の近くにお住いで、コウノトリ保全地域協議会会長を務める竹内さんによると、50年ほど前にはフナ、ナマズ、ウナギなど、いろんな生き物が住んでいて、子どもたちは釣りを楽しんでいたそうです。
その後、池は一面ヒシで覆われ、30年ほど前にヒシ退治の目的でソウギョが4匹放たれました。ヒシは激減したもののソウギョはいつの間にかいなくなり、池は今のような姿になったとのことでした。
最も多かったアメリカザリガニは雑食性で、藻類、水草、小魚、昆虫、動物の死骸、落ち葉など、食べられるものなら何でも食べます。また、高水温・低酸素・水質汚染に耐性があり、劣悪な水環境であっても定着・増殖します。
確かなことは言えませんが、生き物が少なくなった最大の原因はソウギョの放流のように思えます。中国原産のソウギョは水草を大量に食べるので、まず水草が激減し、次いで水草に産卵するフナや昆虫たちもいなくなった。そして劣悪な環境でも生きることができるアメリカザリガニが在来の生き物たちにとどめを刺したのではないでしょうか。
いずれにしても、安易な外来種の導入をやめ、さらに駆除しなければ、在来の生き物たちはどんどんいなくなります。
今後も外来種の問題を多くの人に知ってもらうために池干しを続けていきたいと思います。
世羅町寺町のため池(←タップ、クリックするとGoogle Mapが開きます)
生物多様性を守るため池
世羅町には数多くのため池があります。
ため池は米づくりのために農家が作ったものですが、様々な動植物が生息する貴重な水辺でもあります。
2001年、環境省はラムサール条約締約国会議における登録湿地倍増を目指す決議等、国内外の湿地保全の気運の高まりを受け、生物の生息地として規模の大きな湿地や希少種が生息する湿地などの重要湿地(500ヶ所)を選定しています。
その中で、世羅町と東広島市豊栄町にまたがって散在するため池について、希少種・絶滅危惧種を含む貴重な植生があるとして「世羅台地ため池群」として選定しています。
外来生物による水辺の生物多様性の危機
こうしたため池には、近年、ブラックバスやブルーギル、ウシガエル、アメリカザリガニ、スイレンなどの外来生物が持ち込まれ、地域固有の動植物が減少しています。
また、農業者の高齢化や耕作放棄地の増加などにより、管理が放棄されるため池も増えています。
池干しによる外来生物の駆除
せら夢公園では、こうした状況を少しでも改善することを目指し、2016年から毎年せら夢公園や世羅町内のため池で「池干し観察会」を開催し、生き物観察や、外来生物の駆除を行っています。
2024年には福山大学生命工学部海洋生物科学科による環境DNAによるため池の魚類調査と連携した池干しも始め、2025年3月にはせら夢公園において調査結果の報告会を開催しました。
以下に報告会の発表資料を掲載しますので、是非ご覧ください。
(資料作成)高瀬英江、高橋茉那(福山大学生命工学部海洋生物科学科水族生態遺伝学研究室(阪本研究室))




























